2010年奈良では「平城遷都1300年」を記念しさまざまなイベントが企画されています。今回の特集では中でも「奈良の仏像」にテーマをしぼり、来年度特別公開される仏像の数々を紹介しています。今年は興福寺の阿修羅像が東京と福岡で公開され大きなブームを呼びましたが、来年は奈良の各寺社で実物との対面が可能となるのです。「日本一の美人」との誉れ高い浄瑠璃寺の「吉祥天女像」、談山神社に遺る唯一の仏像「談峯如意輪観音像」、金峯山寺の高さ7mを超える巨大な「金剛蔵王権現像」など、普段は公開されない秘仏をはじめ、重要文化財に指定されている仏像の写真が満載です。悠久の時を超え、今に伝わる仏像たちの微笑みと祈りをご覧下さい。
昭和を代表する偉大な写真家・土門拳の生誕100年を記念し、山形県の土門拳記念館では、土門拳の多くの仏像写真を展示する展覧会「日本人の心ー仏像巡拝ー」が開催されています。戦後リアリズム写真の大傑作『ヒロシマ』や『筑豊のこどもたち』など強烈な写真集を遺した土門拳ですが、一方で『古寺巡礼』に集約される膨大な寺院と仏像の写真を遺し、今日の仏像写真の草分けともなりました。そんな土門拳が愛してやまなかった奈良、室生寺の「釈迦如来坐像」「釈迦如来立像」、浄瑠璃寺の「九体阿弥陀如来坐像」などの写真を土門拳の文章とともに紹介しています。